公開日 2025年03月11日
民法第233条が改正され、越境された土地の所有者は竹木の所有者に枝を切り取らせる必要があるという原則を維持しつつ、枝を自ら切り取ることができるようになりました。
しかし、この改正により、越境してきた木の枝を切り取ることができるようになった一方で、必要以上に枝を切りすぎたり、木の所有者との思わぬトラブルになる危険性もありますので、当事者同士での話し合いをしてください。また、越境した木の枝の切り取りを検討する場合は、事前に弁護士や司法書士へ相談してください。
【民法第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)】
1.土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2.前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
3.第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
(1)竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
(2)竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
(3)急迫の事情があるとき。
4.隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
Q1.隣地の所有者はどうやって調べられますか?
所有者を調べる方法の1つとして法務局の「登記簿」で確認することができます。
申請方法や手数料など、詳しくは岐阜地方法務局へお尋ねください。
Q2.催告してからどのくらい待てばいいですか?
民法第233条の「相当の期間」とは、越境した枝を切除するために必要な時間的猶予を与える趣旨であり、事案にもよりますが基本的には2週間程度と考えられます。
Q3.竹木の所有者又はその所在を知ることができないときとは、どのようなときですか?
個別の事案にもよりますが、基本的には、現地の調査に加えて登記簿といった公的記録を確認することなどの方法により調査を尽くしても知ることができないときを言います。
Q4.急迫の事情があるときとは、どのようなときですか?
個別の事案にもよりますが、例えば、台風などの災害により枝が折れ、隣地に落下する危険が生じている場合などが想定されます。
Q5.枝を切る場合、隣地に入ることはできますか?
民法第209条に規定されており、必要の範囲内で立ち入ることができます。ただし、住家についてはその居住者の承諾がなければ立ち入ることができません。
【民法第209条(隣地の使用)】
1.土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
(1)境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
(2)境界標の調査又は境界に関する測量
(3)第233条第3項の規定による枝の切取り
2.前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3.第1項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。
4.第1項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
Q6.町が代わって越境枝を切ることはできますか?
樹木の越境については、基本的には民事(相隣関係)の問題となり、町で越境枝のせん定や竹木を伐採することはできません。当事者同士の話し合いに基づく解決や法律に基づく解決をお願いいたします。
なお、町では越境した竹木の枝を法的に切除可能かどうかや枝の切り取りにかかった費用の請求、切り取った枝の所有権についての判断はできませんのでご了承ください。
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