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 コロナ渦の長いトンネルを抜けたと思った矢先、大きな災害に見舞われました。元日に発生した能登半島地震です。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。


 隣県での災害とあって、笠松町でも岐阜県からの要請を受けて職員を逐次、輪島市と中能登町へ派遣し、主に避難所運営や罹災証明書の発行などの支援に携わりました。任務を終えて帰庁した職員の多くから同じような感想を聞きました。

 

 「地域の絆が強い場所は被災者同士が助け合っている。気持ちも前向きな人が多い」というものです。彼らの報告を受けながら、あらためて〝共助〟の大切さを認識しました。

 

 東日本大震災以降、防災の話題などでよく耳にするフレーズに「公助・共助・自助」があります。公助は、行政や消防、自衛隊、警察などの公的機関です。災害時での救援救助や被災者支援の主力になります。町でも災害対策本部を立ち上げ、迅速に対応に当たります。

 

 しかしながら、役場職員の数は限られています。また職員自身が被災してしまう可能性もあります。状況によっては、マンパワーの不足が懸念されます。そのために町民の皆さんには、自分の命は自分で守る〝自助〟の意識付けをお願いしています。ふだんから防災グッズを確認したり、家具に転倒防止器具を装着するなど、いざというときの備えを万全にしましょう。

 

 一方で高齢者や身体が不自由な方など、自分だけで身を守ることが困難な方々もいらっしゃいます。また長期にわたる避難所暮らしも余儀なくされる場合、自助だけでは限界があります。そんなときこそ、周りの人と助け合い、励まし合う共助の精神が必要になってきます。そして、その共助の要となるのが町内会(自主防災会)をはじめとした地域コミュニティーです。

 

 けれども最近は、笠松町においても地域コミュニティーの希薄化が顕著になってきました。町内会加入率が低下し、地域活動から距離を置く人が増えています。時代の流れや住民意識の変化かもしれませんが、私は安全安心のまちづくりには、やはり地域の絆が不可欠だと考えます。

 

 問題は、どうやって地域の結び直しを図っていくかです。押しつけではなく住民同士が自然な雰囲気で打ち解けて仲良くなれる機会をつくること、たとえば祭りや運動会などの地域行事を盛り上げるのもひとつの方法だと思います。もちろん人それぞれ考え方も違うし、地域の事情も異なるので期待通りには進まないかもしれません。

 

 それでも諦めることなく、互いの立場を尊重し合い、前向きに意見を交わしていけば、共助の礎が生まれると信じています。災害に強い町、持続可能な笠松町の実現のためにも皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。



 

 

                                       笠松町長 古田 聖人